たとえるなら
家づくりでいう「設計士」に近い役割です。お客さまの「こんな家に住みたい」という要望を聞き取り、図面(設計書)にまとめて、実際に建てる大工さん(プログラマー)に引き渡します。
もう少しくわしく
SE(エスイー)はシステムエンジニアの略で、お客さまの要望を聞き取り、システムの設計をまとめる技術者を指すことが多い言葉です。英語圏ではあまり通じない、主に日本で定着した呼び名です。プログラムを書く作業そのものよりも、「何を作るべきか」を決めて文書にまとめる仕事が中心になります。
具体的な仕事は、お客さまへの聞き取り(要件定義)、システムの構成や画面の設計、開発チームへの作業の割りふり、テストの計画づくり、進み具合の管理と幅広いです。一日の流れでいえば、打ち合わせに出て決まったことを議事録にまとめ、設計書を書き直し、開発メンバーの質問に答え、お客さまへの報告資料を作る——といった動きになります。技術の知識に加えて、相手の話を整理して文書にする力が問われる仕事です。
混同されやすいのがプログラマーとPM(プロジェクトマネージャー)です。おおまかには、何を作るかを決めるのがSE、それをプログラムの形にするのがプログラマー、納期と費用と人の配置を管理するのがPMです。ただし線引きは現場によって違い、小さなチームでは一人が三役を兼ねることも珍しくありません。SIerは会社の種類を指す言葉なので、役割の名前であるSEとは別の分類だと考えてください。
実務の流れは、案件の相談を受けるところから始まります。お客さまの業務を聞いて課題を整理し、実現できる形にまとめて見積もりを出す。合意できたら設計書を書き、開発メンバーに渡して進行を見守り、できあがったものをテストして納品する。運用が始まったあとも、問い合わせへの対応や改修の相談はSEが窓口になることが多く、一つの案件に何年も関わり続けることになります。
よくある失敗は、聞き取りの段階で「たぶんこうだろう」と自分の解釈で空欄を埋めてしまうことです。あいまいなまま設計に進むと、完成間近になって「思っていたものと違う」と言われ、作り直しになります。もうひとつは、伝えずに抱えこむこと。スケジュールが厳しいこと、まだ決まっていないことを黙っていると、あとで全員が困ります。悪い知らせは早いほど被害が小さいのがこの仕事の原則です。
新人のうちは、いきなり設計を任されることは少なく、議事録を書く、設計書の一部を直す、テストを手伝うといった仕事から入るのが一般的です。おすすめしたいのは、打ち合わせで出た言葉をその場で確認する習慣です。「いまの『月末』は締め日のことですか」と聞けるかどうかで、あとの手戻りが大きく変わります。分からないことを分からないと言える人のほうが、早く信頼されます。
補足として、この言葉の意味は会社によってかなり違います。設計専門の人だけをSEと呼ぶ会社もあれば、プログラムも書く技術者全般をSEと呼ぶ会社もあり、技術職の肩書としてほぼ全員に付けている会社もあります。就職や転職で「SE募集」という求人を見たら名前だけで判断せず、設計中心なのか開発も含むのか、担当する工程はどこまでかを面接で必ず確かめてください。
現場での使われ方
「この案件はSEが2名、プログラマーが3名の体制です」
設計や顧客対応を担当する人と、プログラムを書く人を分けて数えた、チーム構成の説明です。会社によって呼び分けが違うので、実際の担当範囲は体制図で確認します。
「まずはSEに要件を整理してもらおう」
お客さまの要望を、システムとして何を作るかという形に翻訳して文書にまとめる作業の依頼です。ここが固まらないと開発を始められません。
「そこはSEに確認しないと決められません」
画面の動きや業務ルールの判断は、仕様を把握しているSEに確認してから決めるという意味です。開発メンバーが独断で作りこむのを防ぐ言い方です。
「今回はSE兼プログラマーで入ります」
設計もプログラムの作成も一人で担当するという体制の説明です。小規模な案件や少人数のチームではよくある形で、役割がきれいに分かれているとは限りません。
よくある質問
SEとプログラマーの違いは何ですか?
おおまかには、何を作るかを決めて設計書にまとめるのがSE、その設計をもとにプログラムを書くのがプログラマーです。ただし線引きは会社によって大きく違い、両方を担当する人も珍しくありません。上下関係ではなく担当する工程の違いなので、求人で見かけたら実際の仕事内容を確かめるのが確実です。
SEはプログラミングができなくてもなれますか?
会社によりますが、プログラムの仕組みを知らないと現実的な設計は難しいため、基礎的な経験は求められるのが一般的です。自分で大量に書く機会が少なくても、書かれたものを読んで理解できる力は必要と考えておきましょう。未経験から研修で学んでから配属する会社もあります。
SEとPM(プロジェクトマネージャー)はどう違うのですか?
SEは「何をどう作るか」という中身の設計を担い、PMは納期・費用・人の配置といった進め方の全体を管理します。責任の向きが違うため、同じ案件に両方がいるのが基本の形です。小さなチームでは一人が兼ねることも多く、役職名ではなく実際の担当範囲で見るほうが実態に合っています。
SEに向いているのはどんな人ですか?
人の話を整理して言葉にするのが苦にならない人、分からないことをその場で確認できる人が向いています。技術力だけでなく、お客さまと開発メンバーの間に立って調整する場面が多い仕事だからです。文系出身で活躍している人も多く、学部や専攻で決まるものではありません。
SEは英語圏でも通じる言葉ですか?
そのままでは通じにくい言葉です。英語のsystems engineerは機械や大規模な設備の全体設計を扱う職種を指すことが多く、日本のSEの仕事に近いのはsystem analystやsoftware engineerといった呼び名です。海外の求人や英語の資料を読むときは意味のずれに注意してください。