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自社開発は「自分のお店のメニューを考えて育て続ける料理人」、受託開発は「注文を受けて料理を仕上げて届けるケータリング」です。前者はお店の評判が自分ごと、後者は注文主の満足と納期が何より大事になります。

自社開発(自分のお店) 自社サービスを育て続ける 評判や売上が自分ごと 改善を繰り返す文化 受託開発(ケータリング) 依頼を受けて作り納品する 納期と約束の品質が最重要 幅広い業界に関われる
自分のお店を育てる料理人か、注文を受けて届けるケータリングか。働き方も文化も大きく違う。

もう少しくわしく

自社開発は、自分の会社のサービスや製品を、自分たちの手で作り育てるスタイルです。動画配信、フリマアプリ、業務ソフトなど、世に出ているサービスを運営する会社のエンジニアがこれにあたります。作ったものの評判や売上が自分たちに直接返ってくるため、出して終わりではなく、使われ方を見ながら改善を続けるのが仕事の中心になります。何を作るかを自社の判断で決められる範囲が広いのも特徴です。

受託開発は、他社から依頼を受けてシステムを作り、納品するスタイルです。SIerや開発会社がこれにあたります。お客さまとの契約で「何を・いつまでに・いくらで」作るかが決まっており、約束した品質で納期どおりに納めることが最重要になります。物流、製造、医療、行政と、ふだん外からは見えない業界のしくみに関われるのは受託ならではの面白さです。

混同しやすい言葉を整理しておきます。SIerは会社の分類、受託開発は仕事のスタイルで、SIerの多くは受託開発を主な事業にしています。もうひとつよく聞かれるのが受託と派遣・客先常駐の違いです。受託は完成したものを納めることに料金が決まり、進め方は請け負った側が決めます。派遣は働いた時間に料金が決まり、仕事の指示はお客さま側から受ける形になります。

進め方の文化も違います。自社開発は作りながら方針を変えやすく、短いサイクルで改善を繰り返すアジャイル開発と相性が良い傾向があります。受託開発は最初に決めた計画に沿って進める場面が多く、設計書や議事録といった文書を重んじる文化が根付いています。話す相手も違い、自社開発では社内の企画担当や営業と、受託開発ではお客さまの担当者とやりとりする時間が長くなります。

気をつけたいのは、「受託はきつい」「自社開発は自由」といった一括りの評価です。実際には会社によって大きく違い、忙しさも技術の新しさも、この区分では決まりません。腰を据えて品質を作りこむ受託の現場もあり、数字の目標に追われて余裕のない自社開発の現場もあります。名前の印象で判断せず、その会社が実際にどう働いているかを見るほうが確実です。

新人のうちは配属先を選べないことも多いので、まずは目の前の案件で誰が何を決めているのかを追ってみてください。自社開発なら社内の企画や数字の判断で、受託ならお客さまの合意で物事が動いていることが見えてきます。転職を考えている人は、区分の名前より、直近の案件の内容・チームの人数・リリースの頻度といった具体的なことを面接で聞くほうが実態がつかめます。

最後に、この二つはきれいに分かれているわけではありません。受託が主体でも自社サービスを持つ会社、自社開発が主体でも受託を引き受ける会社が少なくなく、同じ会社の中でも配属先によって働き方が変わります。またIT企業ではなく一般企業の情報システム部門で、自社で使うしくみを整えたり外部への発注をまとめたりする働き方(社内SE)もあり、選択肢は二択ではありません。

現場での使われ方

「受託で経験を積んでから、自社開発に転職しました」

IT業界でよく聞くキャリアの歩み方のひとつです。受託で幅広い業界の経験を積み、その後ひとつのサービスに腰を据える、という流れを指しています。

「うちは受託がメインで、一部自社サービスもやってます」

実際には両方を手がける会社も多く、会社説明でよく聞くフレーズです。どちらに配属されるかで働き方が変わるため、事業の比率や配属の決め方まで面接で確認したい点です。

「自社サービスなら来週出せますが、受託だと仕様変更の相談からです」

変更の手続きの違いを説明したセリフです。受託は契約で作るものが決まっているため、思いついた改善をすぐ反映できず、追加の費用と期間の相談になることもあります。

「自社開発と聞いていたのに、実際は受託の案件に入っています」

求人の区分と配属先の実態がずれていた、という話です。両方を手がける会社では起こりやすいので、入社前に配属の決め方を確かめておきたいところです。

よくある質問

未経験から入るなら自社開発と受託開発のどちらが良いですか?

一概には言えません。受託は研修や案件の種類が豊富な会社が多く、自社開発はひとつのサービスを深く学べます。会社ごとの教育体制や配属先の仕事内容のほうが、区分そのものより大事な判断材料です。気になる会社があれば、最初に任される仕事を具体的に聞いてみてください。

自社開発と受託開発では給与に差がありますか?

この区分だけで決まるものではありません。給与は会社の事業のかたち、担当する役割、経験、地域などによって変わり、同じ区分の中でも幅があります。同じ会社の中でも役割によって変わります。求人を比べるときは区分の名前ではなく、提示されている条件と仕事内容をそのまま見るのが確実です。

受託開発と派遣・客先常駐はどう違うのですか?

受託は完成したものを納めることに対して料金が決まり、作業の進め方は請け負った側が決めます。派遣や客先常駐は働いた時間に対して料金が決まり、仕事の指示はお客さま側から受けます。同じ「他社のために働く」形でも、責任の持ち方と指示の出どころが違います。

SIerは受託開発と同じ意味ですか?

同じではありません。SIerは会社の分類を指す呼び名で、受託開発は仕事のスタイルを指す言葉です。SIerの多くは受託開発を主な事業にしているため近い意味で使われますが、自社サービスを持つSIerもあります。会社の種類と仕事の進め方は別の軸だと考えてください。

自社開発のほうが新しい技術を使えるのですか?

そう言われがちですが、会社と案件によります。自社開発でも長く使われているしくみの保守が中心の現場はありますし、受託でもクラウドや新しい道具を積極的に取り入れる現場があります。技術の新しさを重視するなら、区分ではなくその会社が実際に何を使っているかを確かめてください。

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