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引っ越しの荷造りを思い浮かべてください。1人でやると6時間かかる作業は、3人でやればおよそ2時間で終わります。この「のべ6時間ぶんの手間」が工数です。ただし、人を増やせばいつも計算どおり速くなるとは限らないのが難しいところです。

金額とスケジュール 工数×単価で計算 工数 人数×時間で表す手間
工数は「人数×時間」で表した手間の量。見積もりの金額もスケジュールも、工数を土台に決まる。

もう少しくわしく

工数は、作業にかかる手間の量を「人数×時間」で表したものです。単位には、1人が1日働く量の「人日(にんにち)」、1人が1か月働く量の「人月(にんげつ)」がよく使われます。「この機能は5人日」と言えば、1人でやると5日かかるぶんの仕事量、という意味です。

単位は規模で使い分けます。半日で終わる小さな修正なら「人時(にんじ)」、数日から数週間の機能追加なら「人日」、半年がかりのシステム開発なら「人月」。数え方も単純で、3人が4日かけて終わる作業は12人日です。「何人でやるか」ではなく「のべ何日ぶんの手間か」を表している点が、慣れるまで少しつまずくところです。

工数が大事なのは、開発の値段とスケジュールの土台になるからです。特に受託開発では、見積もりの金額は「工数×単価」で計算されるのが基本で、工数を読み違えると赤字や納期遅れに直結します。「工数どれくらい?」という質問は、「その作業にどれだけ手間がかかりそう?」という意味の、現場で毎日交わされる会話です。

見積もりのやり方は、大きく2つあります。ひとつは、作業を細かく分けて一つずつ足していく積み上げ。もうひとつは、過去の似た作業の実績から当てるやり方です。慣れた人ほど後者を併用します。「前に似た画面を3人日で作ったから、今回も同じくらい」と当たりをつけてから、積み上げた数字とずれていないか確かめる——この2本立てが、大きく外さないコツです。

見積もった工数には、実際に手を動かす時間以外も含める必要があります。仕様の確認、レビューの待ち時間、テスト、想定外の不具合対応。ここを忘れて「作る時間」だけで見積もると、ほぼ確実に足りなくなります。あらかじめ余裕(バッファ)を持たせておくのが実務の作法です。

気をつけたいのは、人を増やしても工数の計算どおりに早く終わるとは限らないことです。新しい人への説明や、連携の手間が増えるためです。ソフトウェア開発の世界では「遅れているプロジェクトに人を追加すると、さらに遅れる」という有名な経験則があるほどで、工数の扱いはベテランでも悩む奥深いテーマです。

働きはじめたばかりの人が「工数どれくらい?」と聞かれたら、わからないなら「わかりません」と言ってよいのが正解です。困るのは、自信がないまま短めに答えて、あとから間に合わなくなることです。「調べる時間を半日ください」「似た作業の経験がないので、多めに見て3人日です」——こう答えられる人のほうが、現場では信頼されます。

現場での使われ方

「この修正、工数どれくらいかかりそう?」

作業にかかる手間の見込みを尋ねる、現場で最もよく聞く質問のひとつ。「2人日くらいです」のように答えます。

「その仕様変更だと工数が増えるので、スケジュールの相談が必要です」

追加の要望に対して、手間が増えるぶん納期や費用も見直したい、と交渉する場面の言い回しです。

「見積もり20人日に対して、実績が28人日でした」

予定と実際のずれの報告。差が出た原因を振り返っておくと、次の見積もりの精度が上がります。

「そこは工数がかかるので、優先度を確認させてください」

手間の大きい要望に対し、本当に今やるべきかを確認する一言。断っているのではなく、順番を相談しています。

よくある質問

人月とは何と読みますか?どういう意味ですか?

「にんげつ」と読みます。1人が1か月働く仕事量を1人月と数える単位で、「3人月」なら1人でやると3か月、3人でやるとおよそ1か月かかる仕事量を表します。

1人日は何時間ですか?

会社によりますが、8時間(1日の労働時間)で数えるのが一般的です。ただし、会議や問い合わせ対応もあるため、実際に開発に使える時間はもっと短くなります。見積もりのときは、この差を考えに入れておく必要があります。

工数と工期は同じですか?

違います。工数は「のべの手間の量」、工期は「実際にかかる期間」です。12人日の作業でも、3人で分担できれば工期は4日になります。ただし分担しにくい作業もあるので、人数を増やせば必ず工期が縮むわけではありません。

見積もった工数を超えそうなときはどうすればいいですか?

できるだけ早く報告するのが正解です。締切の直前に「間に合いません」と言われるのが、現場でいちばん困ります。早めに分かれば、人を足す・優先度の低い部分を次回に回す・納期を相談するなど、打てる手が残っています。

工数を正確に見積もるコツはありますか?

作業を細かく分けることです。「画面を1つ作る」ではなく、「入力欄を作る」「保存の処理を書く」「エラー時の表示を作る」と分けるほど、抜けに気づきやすくなります。そして、自分の見積もりと実績を記録して見比べる習慣が、いちばん効きます。

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