たとえるなら
電話番号のようなものです。相手の番号がわかれば世界中どこへでも電話がつながるように、IPアドレスがわかればネットワーク上のどの機器へでもデータを届けられます。
もう少しくわしく
IPアドレスは、インターネットや社内ネットワークにつながる機器に割り振られる数字の住所です。データを送るときは、必ず「どのIPアドレス宛てか」を指定します。あなたのスマホにもパソコンにも、いまこの瞬間、何かしらのIPアドレスが割り振られています。宛先が決まらなければ、データはどこへも届きません。
数字の並びには決まった形があります。よく見かける「192.168.1.1」のように点で区切って4つの数字を並べる方式がIPv4、これでは数が足りなくなってきたために作られた新しい方式がIPv6です。家庭やオフィスの機器はルーターから自動で割り振られるのが普通で、サーバーのように住所が変わると困るものには、変わらない住所(固定IP)を割り当てます。
混同されやすいのがドメインとの関係です。「example.com」のような覚えやすい名前がドメイン、その裏側にある数字がIPアドレスで、名前から数字へ変換する仕組みが自動で働いています。私たちが数字を打たずにサイトを開けるのはこのためです。名前と数字は結び替えられるので、同じドメインのまま別のサーバーへ引っ越すこともできます。
IPアドレスには、インターネット全体で通用するグローバルIPと、家庭や社内の中だけで使うプライベートIPがあります。仕事でよく出てくるのは前者で、「この住所からのアクセスだけ許可する」という設定(IP制限)に使われます。社内システムを社外から開けないようにしているのはこの仕組みです。アクセスの記録にもIPが残るため、調査の手がかりにもなります。
落とし穴は、家庭や携帯回線のIPアドレスは変わることがある点です。在宅勤務で「昨日はつながったのに今日は入れない」という相談の多くがこれで、固定IPの契約でなければ、回線をつなぎ直したタイミングで住所が変わります。家の中だけで通じるプライベートIPを社外から指定してもつながらない、という勘違いも定番のつまずきです。
新人のうちは「アクセス許可のために、いまのIPアドレスを教えてください」と頼まれる場面があります。確認用のWebサービスやルーターの管理画面で調べられますが、自分のIPアドレスは公開の場に書かないのが基本です。申請するときは、担当者から指定された連絡経路で伝えてください。つながらないときは、回線を変えて試すと切り分けが進みます。
補足として、家の中の機器がどれも同じ外向きの住所を使っていることは知っておくと便利です。Wi-Fiルーターが、家の中の住所とインターネット上の住所を取り次いでいるためです。同じように、会社から出ていくアクセスは全員が同じIPアドレスに見えることがあります。IP制限が「人」ではなく「場所」への許可だと言われるのは、この性質があるからです。
現場での使われ方
「このIPアドレスからのアクセスだけ許可して」
特定の場所(たとえば会社のネットワーク)からしかシステムに入れないようにする、セキュリティ設定の依頼です。これをIP制限と呼び、社内システムでよく使われる守り方です。
「在宅のIP、申請しておいてください」
自宅から社内システムに入れるよう、許可の一覧に住所を登録してもらう手続きです。回線が変わって住所が替わると、再申請が必要になることもあります。
「アクセスログのIPを見れば、どこからかは分かります」
システムには、いつどこからアクセスがあったかの記録が残ります。IPアドレスから社内か社外か、どの国からかといった見当をつけられます。不審なアクセスを調べるときの出発点です。
「そのサーバー、IPは固定ですか?」
住所が変わらない契約かどうかの確認です。ほかのシステムから許可設定で指定されている場合、IPが変わるとつながらなくなるため重要な確認事項です。
よくある質問
IPアドレスから個人が特定されますか?
IPアドレスだけで氏名や住所がわかることは通常ありません。ただし契約している通信会社には記録が残るため、法的な手続きを経て契約者が特定されることはあります。掲示板やSNSに貼らないくらいの注意はしておきましょう。会社の回線から出ていくIPは、個人ではなく会社を指す点も押さえておくとよいです。
IPアドレスとドメインの違いは何ですか?
同じ場所を指す二つの呼び方です。IPアドレスはコンピューター向けの数字の住所、ドメインは人間向けの覚えやすい名前で、裏側で名前から数字へ変換されています。名前と数字は結び替えられるため、引っ越しても同じ名前を使い続けられます。私たちが数字を意識せずに済むのは、この変換のおかげです。
自分のIPアドレスはどうやって調べますか?
外向きのグローバルIPは、確認用のWebサービスを開くと表示されます。家の中で使っているプライベートIPは、パソコンやスマホのネットワーク設定、またはルーターの管理画面で確認できます。申請に使うのはふつう外向きのグローバルIPなので、どちらを聞かれているのか先に確かめましょう。
IPアドレスは変わるのですか?
変わることがあります。家庭の回線や携帯回線では、つなぎ直したタイミングなどで別の住所が割り当てられるのが一般的です。変わらないようにしたい場合は、固定IPを使える契約にするか、変わっても困らない作りにしておきます。在宅勤務の許可申請では、この点が問題になりがちです。
グローバルIPとプライベートIPは何が違うのですか?
グローバルIPはインターネット全体でひとつの住所、プライベートIPは家庭や社内の中だけで通じる住所です。プライベートIPは同じ番号がよその家でも使われているため、外から直接指定してもたどり着けません。ルーターが両者を取り次いでいます。社内の機器に付いているのは、ふつう後者です。