たとえるなら
注文を受けて料理を出すレストランの厨房です。お客さん(あなたのスマホ)から「このページ見せて」と注文が届くと、厨房(サーバー)が料理(Webページ)を作って返します。お客さんが何人来ても対応できるよう、厨房は24時間営業しています。
もう少しくわしく
サーバー(server)は英語の「serve(提供する)」から来た言葉で、何かを提供する側のコンピューターを指します。特別な形をした機械というより「役割の名前」に近く、性能の高いコンピューターに専用のソフトを入れて、Webページを配る係、メールを預かる係などの仕事をさせています。
提供するものによって呼び名が変わります。Webページを届けるのは「Webサーバー」、メールを預かるのは「メールサーバー」、データを保管して探し出すのは「データベースサーバー」、社内の書類を共有するのは「ファイルサーバー」です。ひとつのシステムの裏側ではこうした役割違いのサーバーが並んで分担しているため、「サーバー」と言われたら何の係を指すのかまで確かめると話が正確になります。
まぎらわしいのがクラウドとの関係です。クラウドはサーバーを自分で買わずにインターネット越しに借りる「持ち方」の話で、借りた先にあるのはやはりサーバーです。反対側の言葉はクライアントで、お願いをする側、つまりあなたのスマホやブラウザを指します。どちらも機械の種類ではなく役割の呼び名だと覚えておけば混乱しません。
現場では、サーバーは用途ごとに分けて用意します。開発者が自由に試せる開発環境、本番と同じ条件で最終確認をする検証環境、利用者が実際に使う本番環境という分け方が一般的です。用意と設定はインフラや運用の担当者が行い、作ったプログラムを本番のサーバーに載せる作業がリリースです。環境の呼び方や台数は現場によって違います。
落とし穴の代表は、いま自分がどのサーバーを触っているのか見失うことです。開発環境のつもりで本番のデータを消す事故は、業界で何度も繰り返されてきました。ほかにも保存領域がいっぱいで書き込めない、通信を暗号化する証明書の期限が切れて警告が出る、宣伝でアクセスが急増して応答できない——「サーバーダウン」の中身は、たいていこうした地味な原因です。
新人や非エンジニアの方にまず身につけてほしいのは、「サーバーが落ちた」と決めつけず、見えた事実をそのまま伝えることです。「何時ごろ」「どの画面で」「どんなメッセージが出たか」「自分だけか、ほかの人も同じか」を添えるだけで、調べる側は原因に一気に近づけます。自分の回線やブラウザ側の問題も珍しくないので、別の端末で試してから報告できれば理想的です。
補足すると、いまのサーバーは一台の機械と一対一ではありません。大きなコンピューターの中に複数のサーバーを仮想的に作る方法が広く使われており、「サーバーを1台増やす」と言っても機械を運びこむのではなく、設定だけで用意できることも多いです。現場で聞く「サーバーを立てる」は、この用意する作業全体を指す口語です。
現場での使われ方
「本番サーバーが落ちてる!」
利用者が実際に使っているシステムが止まっている、という緊急の報告です。原因の切り分けと復旧が同時に始まり、現場が一気にあわただしくなります。「本番」は利用者が使う環境を指します。
「そのデータはサーバー側で持ってます」
利用者の端末の中ではなく、提供する側のコンピューターに保存されているという意味です。機種を買い替えても同じデータが見えるのはこのためで、反対は「クライアント側で持っている」です。
「その修正、まだ本番サーバーに上がってません」
直す作業は終わっているが、利用者が使う環境にはまだ反映されていない状態です。「上げる」はリリース作業を指す口語表現で、反映の時期は担当者に確認するのが確実です。
「サーバーの容量、そろそろ足りないですね」
保存できる領域の残りが少ないという指摘です。いっぱいになると新しいデータを書けず、サービスが止まる原因になるため、古いデータの整理か領域の追加で早めに手を打ちます。
よくある質問
サーバーとクラウドの違いは何ですか?
サーバーは「提供する側のコンピューター」そのもの、クラウドは「そのサーバーを自分で持たずにインターネット越しに借りる利用形態」です。クラウドの向こう側にも、実物のサーバーがデータセンターに並んでいます。比べる関係ではなく、持ち方の違いだと考えてください。
自分のパソコンもサーバーになりますか?
なります。サーバー用のソフトを入れて他の機器からのお願いに応えるようにすれば、普通のパソコンもサーバーとして働けます。ただし本番のサービスでは、24時間止まらない安定性が必要なため専用の環境を使います。学習のために手元で動かしてみるのは、よい練習になります。
「サーバーが落ちる」とは具体的にどういう状態ですか?
お願いに応えられず、画面が表示されなくなった状態の総称です。機械が壊れているとは限らず、ソフトの異常、アクセスの集中、保存領域の不足など原因はさまざまです。利用者側からは区別できないので、まずは見えた事実を伝えます。復旧の見込みは、調べてみないと分からないのが実情です。
サーバーは誰が管理しているのですか?
多くの会社ではインフラエンジニアや運用担当が構築と監視を受け持ちます。小さな現場では開発者が兼任することもあります。クラウドを使う場合は機械そのものの面倒は業者が見て、設定や中身の管理は自社に残ります。誰が見ているかは案件ごとに確かめておくと安心です。
サーバーは何台くらい必要なのですか?
規模によってまったく違います。小さなサイトなら1台で足りますが、多くの人が使うサービスでは何台も並べて処理を分担させ、1台止まっても動き続けるようにします。この考え方を冗長化と呼びます。台数が増えるほど費用も管理の手間も増えるため、規模に合わせて設計時に見積もります。