結論: Cloudflareは「配達網つきの警備会社」
Cloudflareは、Webサイトの手前に立つサービスです。訪問者がサイトを開くとき、実は多くのサイトではサーバーに直接つながっているのではなく、いったんCloudflareを経由しています。
たとえるなら、世界中に営業所を持つ宅配便と、警備会社がひとつになった存在です。サイトの中身のコピーを訪問者の近くの営業所から素早く届け(配達)、あやしい訪問者は入り口で止める(警備)。この2つを同時にやってくれます。
しくみ — サイトと訪問者の「間に立つ」
Cloudflareの本質は「間に立つ」ことです。仕組みを順に追うとこうなります。
- サイトの運営者が、ドメイン(サイトの住所の名前)の案内先をCloudflare経由に切り替える
- 以後、訪問者のアクセスはすべてCloudflareの拠点をいったん通る
- Cloudflareは、よく見られるページのコピーを世界中の拠点に置いておき、訪問者にいちばん近い拠点から届ける
- あやしいアクセスは、サーバー本体に届く前にCloudflareが止める
この「コピーを近くから届ける仕組み」はCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)と呼ばれます。海外のネットワークを長距離移動させるより、近所の営業所から渡すほうが速い——宅配便の「コンビニ受け取り」と同じ発想です。
Cloudflareでできること — 代表的な3つの役割
① 表示を速くする(CDN)
上で説明した「近くの拠点から届ける」仕組みです。特に画像などの重いファイルで効果が大きく、世界のどこからアクセスされても表示速度が安定します。
② 攻撃から守る(セキュリティ)
Webサイトには、大量のアクセスを浴びせてサーバーを止めようとする攻撃(DDoS攻撃と呼ばれます)や、不正な侵入の試みが日常的に届きます。Cloudflareは入り口の警備員として、こうしたあやしい通信をサーバーに届く前にさばきます。通信の暗号化(HTTPS)を簡単に有効化できるのもこの役割の一部です。詳しくは用語集のセキュリティもどうぞ。
③ サイト運営の道具箱(DNS・公開機能など)
ドメインの案内係(DNS)、ドメインの取得・管理、静的サイトの公開機能(Cloudflare Pages)など、サイト運営に必要な道具が一通りそろっています。実はこのIT業界案内図も、Cloudflareの上で公開されています。ドメインの管理から配信まで、無料プランの範囲で運用できています。
無料プランで実際にどこまで使えるか(上限の数字)は、続きの記事Cloudflareの無料プランで何ができる?で、ダッシュボードの画面つきで確かめています。
なぜ個人から大企業まで使うのか
- 無料で始められる。個人サイトなら十分実用になる無料プランがあり、世界中の個人開発者・ブロガーが使っています
- 設定が比較的やさしい。ドメインの案内先を切り替えるだけで基本機能が働き始めるため、専門のインフラ担当がいない小さなチームでも導入できます
- 攻撃対策を「自前で持たなくていい」。大規模な攻撃をさばく設備を自社で持つのは大変ですが、Cloudflareに任せれば世界規模の防御網に相乗りできます
こうした「守る仕事」はインフラエンジニアの領域で、Cloudflareのようなサービスをうまく使いこなすことも、現代のインフラの腕の見せどころになっています。
AWSとの違い — 「作る店」と「守る網」
前回の記事で紹介したAWSと混同されがちですが、役割が違います。
| AWS | Cloudflare | |
|---|---|---|
| たとえるなら | IT設備の巨大レンタルショップ | 配達網つきの警備会社 |
| 主な役割 | サーバーなどを借りてシステムを作る | できたサイトを速く・安全に届ける |
| 立ち位置 | サイトの「本体側」 | サイトと訪問者の「間」 |
「AWSでサイトを作り、Cloudflareで守って届ける」という組み合わせはよくある構成です。対立するサービスではなく、担当する場所が違うのだと覚えておくと、現場の会話が分かりやすくなります。
よくある質問
Cloudflareは無料で使えますか?
個人サイトなら十分実用になる無料プランが用意されています。表示を速くする仕組みや基本的な防御は無料の範囲でも使えるため、個人開発者やブログ運営者に広く利用されています。より高度な機能は有料プランで提供されます。
CloudflareとAWSはどう違うのですか?
役割が違います。AWSはサーバーなどのIT設備を借りてシステムを作るための「レンタルショップ」、Cloudflareはできあがったサイトと訪問者の間に立って、配達を速くし攻撃を防ぐ「配達網つきの警備会社」です。両方を組み合わせて使う現場も多くあります。詳しくはAWSの解説記事もどうぞ。
Cloudflareを入れるとサイトの何が変わりますか?
訪問者から見える変化は主に「表示が速くなる」ことです。運営者から見ると、攻撃への防御、通信の暗号化、アクセス集中への耐性などが加わります。サイトの見た目や中身は変わりません。
個人のサイトでもCloudflareを使う意味はありますか?
あります。無料プランでも表示の高速化と基本的な防御が手に入るため、個人ブログやポートフォリオサイトでもよく使われています。ドメインの管理やサイトの公開機能まで、個人開発に必要な道具が一通りそろいます。