たとえるなら

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家の合鍵を、実家など離れた場所に預けておくようなものです。鍵をなくしても合鍵があれば家に入れます。大事なのは「別の場所」に預けること。同じキーホルダーに2本つけていたら、なくすときは一緒だからです。

控えを取る 別の場所へ データ消失 控えから復元
控えを別の場所に置いておけば、データが失われても元に戻せる。戻せるかの練習もセットで。

もう少しくわしく

バックアップは、データの控え(複製)を別の場所に保存しておくことです。サーバーの故障、操作ミスによる削除、ウイルス被害、災害——データが失われる原因は数多くありますが、控えさえあれば元の状態に戻せます。システム運用における、もっとも基本で、もっとも重要な備えのひとつです。

ポイントは「別の場所に」保存することです。同じ機器の中に控えを置いても、機器ごと壊れたら共倒れになります。そのため、別のサーバーや遠く離れたデータセンターに保存するのが基本です。また、毎晩自動で取得するなど、定期的に最新の控えを作り続けることも欠かせません。控えが1年前のものでは、復元しても1年分のデータが失われてしまいます。

取り方にも種類があります。全部をまるごと複製するフルバックアップは確実ですが時間と容量を食います。そこで、前回から変わったぶんだけを保存する方式と組み合わせるのが一般的です。「週に1回まるごと、平日は差分だけ」という運用にすれば、負担を抑えながら毎日の控えを残せます。

考え方の目安としてよく紹介されるのが3-2-1ルールです。控えは3つ持ち、2種類の異なる保存先に置き、うち1つは離れた場所に置く。会社のシステムでも個人の写真でも、同じ考え方が当てはまります。同じ場所・同じ機器にまとめて置かないことが要点です。

近年とくに重視されているのが、データを人質に取る攻撃(ランサムウェア)への備えとしての役割です。この手の攻撃は、つながっている先の控えまで暗号化してしまうことがあります。そのため、書き換えられない形で保存する、ネットワークから切り離して保管するといった工夫が取られます。身代金を払わずに済む唯一の道が、無事な控えを持っていることです。

そして現場で強調されるのが、復元の練習(リストアテスト)です。いざというとき控えから本当に戻せるかは、試してみないとわかりません。「バックアップは取っていたのに復元できなかった」は、実際に起こりうる最悪の事態。取ることと戻せることはセットで初めて意味を持ちます。

これは仕事だけの話ではありません。スマホの写真、パソコンの書類、確定申告のデータ——失うと困るものは、どれも同じ考え方で守れます。クラウドに自動で同期し、加えて外付けの機器にも定期的に控えを取る。この2段構えだけで、大半の「消えてしまった」を防げます。

現場での使われ方

「作業前にバックアップ取りましたか?」

設定変更やデータ更新の前の合言葉です。万一作業に失敗しても、直前の状態に戻せるようにしておくのが現場の鉄則です。

「昨晩のバックアップから復元しましょう」

データに問題が起きたので、昨夜自動保存しておいた控えの状態まで巻き戻そう、という復旧の判断です。

「リストアテストを四半期に1回やっています」

控えから本当に戻せるかを定期的に確かめている、という運用の説明。取るだけで安心しないための習慣です。

「どこまで戻せますか?」

障害対応でまず確認される質問。控えを取った時点までは戻せるので、その後のデータは失われることになります。

よくある質問

バックアップはどのくらいの頻度で取るべきですか?

データの重要度と更新頻度によります。毎日更新される業務データなら毎日、さらに重要なものはリアルタイムに近い形で控えを取ることもあります。「失ってもよいのは何時間分までか」から逆算して決めるのが基本です。

3-2-1ルールとは何ですか?

控えを3つ持ち、2種類の異なる保存先に置き、そのうち1つは離れた場所に置く、という考え方です。同じ機器・同じ建物にまとめて置くと、故障や災害でまとめて失うことになるため、意図的に分散させます。

クラウドに同期していればバックアップになりますか?

半分は正解ですが、十分ではありません。同期は「同じ状態にする」仕組みなので、まちがえて消したファイルは、同期先でも消えます。過去の状態に戻せる形(世代管理)で保存されているかどうかを確認してください。

バックアップと冗長化は違うのですか?

違います。冗長化は同じものを2台用意して片方が壊れても止まらないようにする仕組みで、「今」を守ります。バックアップは過去のある時点の控えで、「戻す」ためのものです。まちがって消したデータは冗長化では戻せません。

個人でも何をしておけばいいですか?

写真や書類をクラウドに自動で預けたうえで、外付けのディスクにも定期的に控えを取っておくと安心です。保存先が2種類あり、片方はネットにつながっていない——この形にしておけば、機器の故障でもウイルス被害でも大半は助かります。

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