たとえるなら

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部活の「引き継ぎノート」です。先輩が「大会前はこの手続きを忘れがち」「この道具はここで安く買える」と書き残してくれていれば、後輩は同じ失敗や回り道をせずに済みます。それを職場でやるのがナレッジ共有です。

問題を解決 記録に残す チームで共有 次の人が活用
一人の経験を記録して共有すれば、次に同じ問題に出会った人が同じ回り道をせずに済む。

もう少しくわしく

ナレッジ(knowledge)は英語で「知識」ですが、職場では単なる知識ではなく、チームで共有する価値のある知識やノウハウを指します。エラーの対処法、設定の手順、お客さまとのやりとりで学んだこと——個人の頭の中にしまわれがちな経験を、文章にして誰でも読める場所に残したものがナレッジです。

ナレッジ共有が重視されるのは、「その人しかわからない」状態(属人化と呼ばれます)を防ぐためです。担当者が休んだり辞めたりした途端に誰も対応できなくなるのは、チームにとって大きなリスクです。また、同じ調査を別の人が繰り返すのは時間のむだなので、一度調べたことを記録しておけばチーム全体の時間の節約になります。

残す価値が高いのは、調べるのに時間がかかったこと一度しか起きないと油断していたことです。「このエラーは設定ファイルの1行が原因だった」「この作業は手順を間違えると戻せない」——こうした、次に出会った人が同じ時間を溶かしてしまう情報が、いちばん喜ばれます。逆に、公式ドキュメントを読めばわかることは、リンクを置くだけで十分です。

書き方にもコツがあります。「何をしたら、何が起きて、どう直したか」を時系列で書くのが基本形です。あとから検索されることを考えて、実際に画面に出たエラーの文言をそのまま貼っておくと、同じ言葉で検索した人が確実にたどり着けます。きれいな文章にしようとして書かずじまいになるより、雑でも残っているほうが価値があります。

ナレッジをためる場所として、社内wiki(みんなで編集できる文書サイト)やナレッジベースと呼ばれる専用ツールを使う会社が多くあります。「ナレッジ化しておいて」と言われたら、頭の中や個人のメモにある情報を、チームの決まった場所に清書して残して、という依頼だと理解しましょう。

ためたナレッジは古くなるという弱点も持っています。手順が変わったのに古い記事が残っていると、かえって事故のもとになります。そのため、更新日を書いておく、古くなったものには印をつける、といった手入れも必要です。書きっぱなしにしないことまで含めて、ナレッジ共有の仕事です。

働きはじめたばかりの人にこそ、ナレッジを書く価値があります。「初めてつまずいた場所」は、慣れた人には見えなくなっているからです。自分がわからなかったこと、調べて解決したことを書き残しておくと、次に入ってくる人を助けられますし、自分の理解も整理されます。

現場での使われ方

「このエラーの対処法、ナレッジに残しておいて」

せっかく解決した方法を自分だけの経験で終わらせず、次に同じ問題に出会った人が読めるよう記録して、という依頼です。

「まず社内のナレッジを検索してみて」

誰かに質問する前に、過去の記録に同じ問題の答えがないか探してみて、という新人がよく受けるアドバイスです。

「この作業、〇〇さんしかできない状態になってますね」

属人化を指摘する一言。ナレッジ化して他の人でもできるようにしよう、という提案が続きます。

「その記事、去年の手順のままですね」

ナレッジが古くなっている指摘。書いたあとの手入れも必要だとわかる場面です。

よくある質問

ナレッジとマニュアルの違いは何ですか?

マニュアルは正式な手順書として整えられた文書、ナレッジはもっと幅広く、経験から得たコツや対処法の記録全般を指します。ナレッジとして蓄積された情報が、あとで整理されてマニュアルになることもあります。

属人化とは何ですか?

特定の人しかその仕事をこなせない状態のことです。その人が休んだだけで業務が止まるため、リスクとして扱われます。ナレッジ共有は、この属人化をほどくための代表的な手立てです。

どんなことをナレッジに残せばいいですか?

調べるのに時間がかかったこと、手順を間違えると戻せない作業、エラーの原因と対処が目安です。公式ドキュメントを読めばわかることは、リンクを置くだけで十分です。「次の人が同じ時間を使わずに済むか」で判断してください。

きれいに書けないのですが、残す意味はありますか?

あります。整った文章にしようとして書かずじまいになるより、雑でも残っているほうがずっと役に立ちます。実際に出たエラーの文言をそのまま貼るだけでも、同じ言葉で検索した人がたどり着けます。

ナレッジを書く時間が取れません。どうすればいいですか?

解決した直後に、調査中のメモをそのまま貼っておくだけでも構いません。あとでまとめて書こうとすると、記憶が薄れて手が止まります。「作業のついでに残す」形にできるかが、続くかどうかの分かれ目です。

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