たとえるなら
車の運転席の計器盤です。速度・燃料・エンジンの状態が走りながらひと目でわかるから、安心して運転の判断ができます。ビジネスのダッシュボードも同じで、サービスの「速度計」や「燃料計」にあたる数字を1つの画面に集めたものです。
もう少しくわしく
ダッシュボードは、大事な数字をグラフや表の形で1つの画面にまとめたものです。売上、サイトの訪問者数、会員の増減、システムの稼働状況——見たい数字があちこちの資料に散らばっていると、状況をつかむだけでひと苦労です。ダッシュボードを開けば、いまの状態がひと目でわかります。
名前の由来は、車の運転席にあるメーター類(dashboard)です。速度・燃料・水温を運転しながら一瞬で読み取れるように並べてあるのと同じで、「見にいく」のではなく「目に入る」形にするのがねらいです。運転席のメーターに整備記録まで表示されていないのと同じで、載せる数字を絞ることも大切になります。
毎回人の手で作るExcelの報告書と違い、ダッシュボードはデータベースとつながっていて、数字が自動で最新の状態に更新されるのが特徴です。作るときは、データを見える形にする専用の道具(BIツールと呼ばれます)を使うのが一般的で、最近は専門家でなくても扱いやすいものが増えています。
中身は、追いかけたい指標(KPI)をグラフにしたものが中心です。今月の売上のような今の数字、先月や前年と比べた変化、目標に対する進み具合——この3つが揃うと、見ただけで次の行動が決まります。数字を1つ置くだけでは「それで良いのか悪いのか」がわからないため、比較対象をセットで載せるのが定石です。
使われ方は大きく2種類あります。ひとつは事業の状況を見るためのもので、売上や会員数を経営会議や朝会で確認します。もうひとつはシステムの監視のためのもので、サーバーの負荷やエラーの発生数を映し出し、異常が起きたらすぐ気づけるようにしておきます。後者はオフィスのモニターに常時映している会社もあります。
作るときにいちばん多い失敗は、載せすぎです。グラフを詰め込むほど「見れば何かわかる気がする」画面になりますが、実際には誰も見なくなります。「この数字が動いたら、誰が何をするのか」を決められないものは載せない——これが、使われ続けるダッシュボードの条件です。
現場では、チームが追いかけるKPIをダッシュボードに載せて毎朝確認したり、システムの監視画面として異常をいち早く見つけたりと、さまざまな場面で活躍します。数字を「見に行かないとわからない」状態から「いつでも見えている」状態に変えることが、ダッシュボードの本当の価値です。
現場での使われ方
「まずダッシュボードを見てみましょうか」
個別の資料を探す前に、数字がまとまった画面で全体の状況を確認しよう、という会議の入り口でよく出る一言です。
「その数字、ダッシュボードに載せておいて」
毎回聞かれる数字なら、いつでも誰でも見られる画面に追加しておこう、という依頼です。
「このグラフ、比較対象がないと判断できないです」
今の数字だけでは良し悪しがわからない、という指摘。前月比や目標値を並べてほしい、という意味です。
「ダッシュボードが誰にも見られてないですね」
作ったものの使われていない状態。載せる数字を絞り直すきっかけになる、よくある振り返りです。
よくある質問
ダッシュボードは誰が作るのですか?
データ分析の担当者やエンジニアが作ることが多いですが、最近は画面上の操作だけでグラフを作れる道具が普及し、企画職や営業職の人が自分で作る会社も増えています。
レポートとダッシュボードは何が違うのですか?
レポートは「ある時点の状況をまとめて配る資料」、ダッシュボードは「いつ見ても最新の状態が映っている画面」です。月次レポートは読み物、ダッシュボードは常時点いているメーター、と考えるとわかりやすいです。
BIツールとは何ですか?
データを集めてグラフや表に見える化するための道具の総称です(BIはビジネスインテリジェンスの略)。データベースにつなぐと、画面上の操作だけでグラフを組み立てられます。Looker Studio や Tableau などが知られています。
何個くらい数字を載せるのが適切ですか?
決まりはありませんが、1画面に収まる範囲が目安です。スクロールしないと全部見えない時点で、ひと目でわかるという目的から外れています。迷ったら「この数字が動いたら誰が何をするか」で選別してください。
Excelでは代わりになりませんか?
少人数で月に1回見るだけならExcelでも十分です。ただ、毎回手で作り直す手間がかかり、更新が止まりがちです。多くの人が毎日見るなら、自動で最新になるダッシュボードのほうが向いています。